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おいしい声(もの)たべたい。

ここは主食が『声』のさすらい人「御影」が、日々の雑記やらその日食べたごはん。その他を自由気ままに語るブログです。日々、腹痛に注意。
HOME » TRPG小説 » scene4:落とし子と魔王02-勇者の過去-
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「…で、ハルカ。あたしたちが向かってる居城にいる魔王ってどんなヤツなの?」
 こちらを向きながら器用に後ろ歩きするムツミがそんなことを聞いてくる。この子は今から戦う相手の情報すら聞かずにこの応援要請を承諾したのだろうか…。
「リオンちゃんからの話によると、名前は"無限の虹彩"メル=アドラー。階位は男爵で、裏界の中でもすごくプライドが高いみたい」
 ベルは『実力もない癖にプライドばかりが高いヤツのことだから、上位の魔王からの協力もつっぱねるに決まってるわ。そこが狙い目なの…ふふふ』と邪悪な魔王っぽい顔(へっぽこだけど十分邪悪な魔王なんだけどね)で言っていたが、このことはムツミには内緒にしておこう。
「メル…あたし知ってるよ…。そいつ、狭界であたしがウィザードに協力しようとした時に襲ってきた魔王だ。突然『この裏界の恥知らずが!!』とか言って攻撃を仕掛けてきたんだ…」
 私の言葉を聞いて、ムツミが拳を強く握って怒りをあらわにする。どうやら因縁浅からぬ仲というものみたい。ベルが言っていた『協力者は勇者魔王ムツミ=アマミを使うわ。あのお人好しの魔王ならアンタとも気が合うでしょうし、それに…ふふふ』(やはり邪悪な魔王っぽい笑顔)と言っていたのはこのことなんだろう。実際には、私と彼女が交友関係にあったことで、二つ返事で承諾したからベルの思惑は半分外れたのだけれど…。
「…あたし、あんまり人を恨むのとかは嫌だけど…今回は別! やろう、ハルカ!」
 世が世なら魔王を退治するために奮起する勇者の図で決意を新たにするムツミ。私はそんなムツミの姿を見て、ベルも案外人のこと見ているんだな、と感心したり。
「頼りにしてるよ、ムツミ」
「まっかせて!」
 やはり魔王ではなく勇者…ああ、勇者魔王だから間違いではないのか…なムツミ。どうしてこの子は魔王をしているんだろう? そんなことを考える。ムツミは生来の侵魔とは思えない。どちらかというと私と同じように契約や侵食によってウィザードから変化したタイプに見える。私がこうやって落とし子になったように、この子がこちら側に来る理由があったんだろうな…。
「ねぇ…ムツミ。ちょっと聞いていい?」
「ん? 何? 何でも聞いて! あたしの知識…あー難しいことはわからないけど、少なくとも裏界ではあたしの方が先輩だからね!」
 どん、と胸を叩いて得意げに答えるムツミに、私は今考えた疑問を聞いてみる。
「あのさ…どうして、ムツミは魔王なんてやってるの? ムツミは魔王の中では異質…どちらかというとウィザードに近い存在だと思ってる。堕ちてまでやりたかったことがあったの?」
「……そ、それは…」
 私の質問に得意げにしていたムツミが困ったような顔をした。やはり、何かがあったみたい。彼女自身の性格上、答えると言った以上答えなくてはいけないという考えが強いのだろう。興味本位で聞いてしまったことを後悔する。ここは、ちゃんとフォローをしよう。
「ごめん、そういうことは自分から話すのが筋だね。私が落とし子になった事件のことを話すよ…」
「え、あの…ハルカ…あたし…」
 戸惑うムツミを無視して話を始める。あの日、落とし子全体から見ても間抜けでどうしようもない、だけど今となってはいい思い出となったとある事件の話を…。
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