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おいしい声(もの)たべたい。

ここは主食が『声』のさすらい人「御影」が、日々の雑記やらその日食べたごはん。その他を自由気ままに語るブログです。日々、腹痛に注意。
HOME » TRPG小説 » アリアンPVPの第一回目を書いてみた。
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おくればせながら、第一回目のリプレイ風小説を書いてみた。本編と違う描写があったり、キャラの設定が色々生えてたりするけど、それは御影さんの妄想です。ラブラブシーンの練習も兼ねているのでそれも注目…するなあああ!!!!!

では、よろしければどうぞ。


クラン・ベル近郊、深い森の奥にその遺跡はあった。
『無限とも言える膨大な財宝が眠っている』
『何物にも貫ける究極の防具が安置している』
『全知全能の神の力が手に入る』
数多の噂によって彩られた遺跡、その遺跡に冒険者たちは集い、そして散っていった。
だが、それでも遺跡を求める者は後を絶たない。そしてまた、新たな冒険者が遺跡を求めた。
それぞれの、『願い』を求めて。

「…『世界を破滅に導く魔族の王が封印されている』…本当かしら?」
遺跡に向かう森を歩く影がふたつ。真紅の東国の民族衣装″キモノ″に身を包んだ少女が呟く。
薄褐色の肌、それと濃淡を描く艶やかな長い黒髪は腰まで伸ばされていた。
切りそろえられた前髪から覗く金色の瞳は隣を歩く青年に向けられている。
「…たしかに眉唾物だが、依頼は依頼だ。俺たちのような″素性も知れない″ような怪しい奴等を使ってくれるだけありがたいと思うしかないだろう」
少女の問いに前を向いたままどこか自嘲気味に答える長身の青年。栗色の髪と鋭い眼光。
腰のホルスターに差された、その軽装に似合わない無骨で巨大な銃が二挺、自己主張をしている。
会話をしながらも常に周囲を警戒しているのは、彼が″そのような世界″にいたことを如実に表していた。
「…私はあなたが私の『願い』を叶えてくれるならなんだっていいわ…ね? グライド?」
「わかっている。カルマ、お前に、お前の外を世界を見せてやる。その誓いを違えるつもりはない」
グライドと呼ばれた青年は隣にいる少女、カルマに視線を向けてそう言った。それは二人が共に歩むためのただひとつの誓約。
「…うん」
カルマがぎこちなく微笑む。グライドはそっと視線を前に戻す。その視線の先には、遺跡の入り口があった。

 


『挑戦者の侵入を確認。決闘<デュエル>モードへ遺跡を変更』

    >>side グランフォース

「ねぇねぇ、クー。この森の奥にその遺跡があるの?」
まだどこか幼さが残る口調で、少年は隣を歩く少女に話しかける。好奇心旺盛と言った感じの深い青の瞳と、活発を体現したような短い茶色の髪。
一見どこにでもいるような少年だが、それが間違いだということに誰もがすぐに気づく。普段着と変わらない軽装から覗く彼の両腕には、本来あるはずのないモノが付いていた。
森林から零れ落ちる陽光によって淡く煌く青い鱗。そして鋭く伸びた爪。太古より生物の頂点として君臨していた"竜"…その力を彼は受け継いでいるのだ。
「そうよ、アリエス。この先が噂の『世界で最高の宝石が眠っている』と言われている遺跡よ」
少年…アリエスの問いに優しい笑みで少女…クーリエは答える。エルダナーン特有の白く透き通った肌と長い耳。そして整った顔立ち。
身に着けている薄手のローブと先のとがった帽子から流れる髪の毛は、彼女の雰囲気とコントラストを描くような鮮烈な赤。
首から提げられたアミュレットに刻まれているダグデモアの紋章から、彼女が神に仕えている身であることが伺えた。
「そんなすごいものがあるなら、きっと強いモンスターとかもいるんだろうね」
「そうね~。もしもすごく怖いモンスターがいたらどうしようかしら?」
どこか興奮した声のアリエスに、クーリエは微苦笑しながらわざとらしく応える。
「大丈夫、クーのことは僕が絶対に守るから! だって、僕は男の子だからね!」
「うん。期待してるわ。アリエス」
「任せてよ!」
ドン、と胸を叩いて自信満々な様子のアリエスを見つめるクーリエ。そこにあるのは庇護にも似た親愛の感情で、今の二人の関係を表していた。
「あ、見えてきたよ!」
「じゃあ、行きましょうか」
「うん!」
ふたりの向かう先には遺跡の入り口。それぞれの思いを秘めて、ふたりは扉を開けた。

    >>side ヴァンプレックス

遺跡の扉を開き、躊躇することもなくカルマはその中に足を踏み入れた。その内部は松明に火を灯す必要もないぐらいには明るかった。
「…遺跡が目覚めている…のか?」
カルマの後ろにいたグライドが、誰にとでもなく呟く。管理者のいない遺跡が起動している。その理由にはふたつある。
ひとつは"誰か"がこの遺跡のシステムを掌握しているということ。そして、もうひとつはこの遺跡がまだ"生きている"ということ。
そして、前者である可能性は限りなく低い。つまり、この遺跡にはそれが何であろうと"何か"があるということを示している。
「…グライド…私たち以外にも誰かがいる」
「…何?」
一人思索に耽っていたグライドにカルマが声をかけた。自分達以外の侵入者がいるということは、出会ってしまった場合衝突が避けられないということである。
グライドは警戒を強め、自分達の存在を気取られないように視線でカルマに意思を伝える。
(…そいつらが何人で、どれくらいの距離かわかるか?)
「…二人。距離はそこまで離れてない。このままだとすぐぶつかる」
意思は伝わったが、まるで隠れるつもりがないかのようにカルマは先ほどと変わらない声量で答えた。
幸いにして元々声が大きくない…むしろ小さいぐらいなので見つかることはないだろうが、グライドは内心でため息をついた。
(仕方ない。まだ分岐もないこの状況で進まないというわけにもいかないだろう)
「…それに、もう戻れないから」
カルマの言葉に、グライドが大げさに肩をすくめた。ふたりの視線の先には、さっきまで存在していた扉がなく、代わりに周囲と同じ無機質な壁があるだけだった。
(…カルマ、準備はいいか?)
「…大丈夫。問題ないわ」
二人は頷きあって歩みを進めた。

    >>side  グランフォース

「閉じ込められちゃったみたいだね。クー」
「そうね。どうやら私たちを帰す気はないみたい」
背後で消失した扉に目を向けて、クーリエはため息をついた。
噂通りかはわからないが、とりあえずまだこの遺跡は機能を停止していないらしい。
(それに…私たち以外にも)
微かだが風の流れに違和感がある。それが人間なのか、この遺跡に巣くうモンスターなのかはわからないが、やはり簡単にはいかないようだ。
しかし、クーリエはそのことをアリエスには伝えない。
(そのほうが面白そうだし…それに、悪意は感じないから大丈夫でしょ)
アリエスにはわからないように微笑して、彼へと向き直る。
「アリエス、このままじゃ埒が明かないし、先へ進みましょう」
「あ、そうだね。立ち止まってたら何も変わらないもんね!」
先へ歩き出したクーリエの後ろを遅れないようについてくるアリエス、運命の出会いまで、あと数十メートル。


アリアンロッド バーサス 「運命の邂逅、拳と銃と呪術とカタナ」

『アリエス。警戒だけは怠っちゃだめよ?』
『うん。大丈夫だよ! 冒険者のたしなみだもんね!』
(人の声…しかもかなり若いな)
目の前の闇から聞こえてくる声に、グライドは耳を澄ます。
声は男と女。遠慮なしに歩いてくる足音は二つ。特殊な訓練を積んでいないことは明らかだった。
「どうする? 殺る?」
さも当然かのように言いながら、腰に下げた刀に手を伸ばそうとするカルマを「待て」と制止し、警戒をさらに強める。
踏み出しそうになる足を堪え、冷静であろうと自らに言い聞かせる。
(……)
隠れられそうな場所は一切ない。彼我の距離も遠くない。
「考えても変わらないことはある。逃げられないなら覚悟を決める」
思考を遮るように、カルマが呟く。その言葉にグライドが呆れたように答える。
「そんなこと言って…お前の場合は、考えることが面倒なだけだろ?」
「ふふ…正解。だって、私にはグライド、あなた以外どうでもいいんだもの」
「…っ…まったく、少しは自分の頭を使えよ…」
カルマの言葉に、グライドが言葉に詰まる。仕方なしに憎まれ口を吐くが、その言葉は弱い。
顔を逸らすと、誰かがいるであろう道の先に目を向ける。
「まぁ、いい。準備だけは怠るなよ」
「ふふ…了解」
背後から聞こえるどこか含みのある笑い声に内心で舌打ちして、グライドは腰のホルスターの留め金をはずす。
徐々に近づいてくる声と足音。そして、二つの影が暗闇から現れた。

「…あ…っ」
「…ふふ」
グライドたちの目の前に現れたのは、声の通り、まだ幼い少年と少女。特徴的なとがった耳と美しい容姿から少女がエルダナーンであることはすぐにわかった。
だが、もう一人の少年、彼の腕を見て、グライドは思考をめぐらせる。
(ドラゴン…リカントロープやシェイプシフター? いや、違う…アルディオン大陸にいるという竜人か?)
ここ、エリンディル大陸ではない戦乱の大地。そこにいるという神竜セフィロトの加護を受けると言われる竜人…ドラゴネット。
話には聞いたことはあったが、こうやって目にするのは初めてだった。
「…ねぇ、グライド…あれはモンスター?」
「いや…あれは恐らくドラゴネットと言われる亜人の一種だ」
「…ふぅん…まぁ、邪魔するなら殺す…それだけだけど」
何でもないかのように、カルマは薄く笑みを浮かべて、腰に下げた鞘から刀を抜き放つ。殺気を感知したのか、目の前の少年が声を上げる。
「な…なんだ…お前達は!!」
隠すことのない殺気に気圧されたのか、声の奥に震えがある。
「このダンジョンは、我らグランフォースが踏破するっ! 邪魔をするならよ、容赦しないぞ!」
「容赦はしない…か。だが、俺たちも仕事でな…そう言われて『はい、そうですか』ってわけにはいかないんだよ…」
威嚇の意味も込めて、グライドは二丁の魔導銃を抜き放つ。規格の倍以上の大きさを持つ巨大なカスタムガンが遺跡の明かりに反射して鈍い煌きを放つ。
「……(ねぇ、どうしよう…クー! あの人たち、お仕事なんだって…僕たちただの趣味だよ!?)」
(安心して、アリエス。ダンジョン探索は冒険者の仕事よ)
(そ、そうか…! なら大丈夫なんだね!!)
困った顔で少女の方を振り返る竜の少年に、何やら耳打ちをする少女。何か得心したように大きく頷くと、自信を取り戻したようにこちらに向き直った。
(ふっ…何だか知らないが、あっちも女に振り回されているようだな)
横目で隣で臨戦態勢に入っているカルマに視線を向けて息を吐く。
「こっちだって、ぼ、冒険者の大事なお仕事だい!! ひ、引く気がないなら僕のこの拳でお前達を叩きのめしてやる!!」
「アリエス。かっこいいわよ」
「…(照)」
竜の腕でこちらを指差す少年と、それを煽るような少女。その姿に、カルマがその笑みを一層深くする。
「へぇ…私たちの邪魔するんだ…ふふ…グライド…殺っていいよね?」
「…はぁ…まったくお前は…。見ての通りだ、お前等、こいつに殺られる前に考え直してここから去るか、大人しく気絶でもしておいたほうがいいぞ」
好戦的なカルマにため息を吐いて、グライドが二人に告げる。だが、エルダナーンの少女はそれに自信有り気な声で返す。
「それはこっちの台詞よ。この拳にしか能がないアリエスの攻撃…簡単に避けられると思って油断すると…痛い目みるわよ?」
「さあ、行くぞ!!」
少年…アリエスが間合いを詰めようと向かってくる。魔法使いである少女、クーリエを守るための基本的な戦術だ。
「ふふ…そうはさせないわ…」
「何!? か、体がっ!」
カルマが嗜虐的な笑みを浮かべる。両腕を前に突き出し、そして"何かを手繰るように戻す"。
すると、アリエスの後ろにいたはずのクーリエの体が"何かに引き寄せられるように"カルマの元へと向かった。
そして、その時アリエスは幻視した。金色の糸がカルマの指先からクーリエの体へと伸びている。
それはまるで蜘蛛の糸のように彼女の自由を奪い、手繰り寄せている。
そして、その先には、東国の武術『居合い』の構えを取るカルマ…。それはまるで、憐れな獲物を捕食する蜘蛛のようだった。
「クー!! うおおおおっ!!!」
アリエスの速度が一段階上昇する。地を蹴るように跳躍し、その両腕の爪を振り下ろす。
ぶつり、と切れた糸が霧散するのを見ながら、アリエスはバランスを崩したクーリエを抱きとめる。
「クー! 大丈夫? 怪我はない!?」
「ええ、大丈夫よ。アリエス…ありがとね」
「…思った以上に速い…生意気」
構えを解いて、つまらなそうにカルマが言う。そんな中、グライドは一連の流れを見ながら考える。
(…手加減している余裕はなさそうだな。仕方ない…)
ホルスターに隠していた真紅の弾丸を、右手の魔導銃の最後の一発として装填する。使うことがないことを祈りながら。
「なんだかわからないけど! よくもクーに怪我させようとしたな!! 許さないぞ!」
怒気を孕んだ声色で、アリエスがカルマへと駆け出す。無風のはずのダンジョンの中に風が吹く。その風は彼の両腕にまるで手甲のように纏われ、風の軌跡を描く。
「カルマ!」
「…いい…手を出さないで…」
庇おうと前に出ようとしたグライドを、カルマが制止する。グライドは「ちっ…」と舌打ちして足を止めた。
あの状態のカルマは、敵味方の関係がない…いや、正確には"自分の邪魔をするものは、何であっても敵"である。
例え、それが彼であろうとも…。
「うおおおおおっ!!!」
風を纏った拳が、カルマにむけて放たれる。直撃を受けたカルマの体が、まるで縫い付けられるように地面へと叩きつけられる。
「ぐ…ぁ…! …ッ?」
口元から血を流しながら、立ち上がろうとするカルマの体がぐらりと揺れた。
「カルマ!!」
「ふふ…すぐには立ち上がれませんよ。アリエスの風の拳に、私の風の呪術を乗せました。
そこの周囲の風圧は普通の人間では呼吸することすら困難なほど高まってますから」
杖を構えた状態で、クーリエが笑う。
「う…くっ…」
「無理はするな。カルマ…。俺に任せておけ」
グライドは魔導銃を構える。銃を使った近接格闘術を使う彼の銃は極端にバレル部分が短く、本来の扱い方をするならば10m程度しか飛距離が出ない。
だが、その短い銃身こそが彼の戦闘スタイルの根源を為している。
「行くぞッ!!」
気合いと共に駆け出す。目標は後衛の術者。戦闘においてまず司令塔、そして支援役から落とすのは定石。
「な、速いっ!」
立ちはだかろうとするアリエスの横を抜ける。目指すはただ一点、そして、放つは全力の一撃。
「……はッ!!!!」
左手の銃身を使ってクーリエへと殴りかかる。零距離での格闘からの射撃。それがグライドの必殺技『ストラグルクラッシュ』だ。
「……?」
グライドがどこか違和感を感じたのはその時だった。思考は一瞬。理屈や理論ではない。
ただ、"なんとなく"戦いに身を置いてきた者の勘が警鐘を鳴らす。違う。何かが違う…と。
「…くっ!!」
無理やりに腕を捻って攻撃の軌道を変える。腕に走る痛みを無視して、渾身の一撃を放つ。
「私の風を…見切った!? 何で!?」
驚愕の表情を浮かべるクーリエ。だが、すぐに落ち着きを取り戻し、魔術の詠唱を始める。
「風よ、我を守りし城壁と成せ!!」
彼女の前に発生した風の障壁と銃身がぶつかり合い火花を散らす。勢いを殺されながらも、グライドは冷静に次の行動を示す。肉薄した状態での一撃。"銃本来の力"による一撃目
「大人しくしてもらうぞ!」
至近距離で引かれた引鉄。破裂音と共に放たれた銃弾がクーリエ目掛けて飛んでいく。
「くぅっ…風よ、我を脅かすものに等しく終焉を!!」
呪いの言霊によって力を得た風が、到達する前に風化し、塵へと変わっていく。
「甘いわね、風はあらゆる方法で力を発揮する。この空間全てが私の支配下なのよ」
にやりと勝ち誇ったように笑うクーリエ。だが、彼女は内心焦っていた。空間に存在する大気を操作しての対象の挙動の操作。
達人であればあるほど、そのパターン化された最適項の動作が"そこに当たり前に存在する何か"によって歪められていることに気付かない。
だが、それを"勘"によって打破されたのだ。恐らく二度と同じ方法は通用しない。
「語ってるところ悪いが、俺の魔導銃はひとつじゃないんだが…なっ!!!」
焦りが生んだ一瞬の思考の隙間。恐らく意識的にだろう、一切の挙動を見せなかった右手の一撃がクーリエの風の切れ目から炸裂する。
爆発が土煙を巻き起こし、周囲の視界を遮った。
「クー!! お前っ! クーを!!!」
「…大丈夫だ、殺傷能力は抑えてある。子どもは子どもらしくそこで寝てるといい」
「…あら…ずいぶんと優しいのね。でも…私、子どもって年でもないのだけれど」
「なっ…」
「クー!」
土煙が吹き消える。そこには傷一つない状態のクーリエの姿があった。至近距離での一撃を喰らってなお立っている。その事実にグライドが驚愕の表情を見せる。
「…精霊の王…守護者の力か…」
「正解。風の王、天空を統べし鳥の王シームルグ…人如きの力じゃ傷つけることは叶わないわ…まぁ、その力を行使するために私の呪術が解けてしまったようだけど」
「かはっ…はぁ…はぁ…」
グライドの後ろでカルマが血を拭って立ち上がる。出血は激しいが、それでも彼女の目は妖しい輝きを浮かべたままだった。
「そして…その力も何度も行使できるわけではないだろう?」
トントンとつまさきを鳴らし、グライドが再度攻撃態勢になる。高機動力による一斉殲滅、それが二人の必勝のパターン。相手に立て直す時間など与えない。
「だから、そのために僕がいる!」
「さっき追いつくことも出来なかったお前が、どうするって?」
グライドの前にアリエスが立ちふさがる。その瞳はさっきまでのどこか気弱なものとは違っていた。
(…さっきと雰囲気が違う…。迷いやどこか楽観的な部分が消えている?)
「…僕が…絶対にクーを守るんだ!!」
「…アリエス…」
「…そうか…ならば守って見せろ!!」
間合いを詰めるために駆け出したグライドにアリエスが真正面から向かっていく。まるで鏡写しのように中央で激突したふたりの銃身と竜爪がぶつかり合い、火花を散らす。
「くっ…反応が速くなってる…!」
「まだまだっ!!!」
グライドの想定を超える速度で拳を打ち付けてくるアリエス。それを何とか銃身で往なしながら、グライドはある一点の瞬間を待っていた。
「さっきとは全然動きが違うな! だが…」
爪を両手の銃で受け止め、そのまま押し返すようにしてアリエスとの距離を離す。
「いくらちょっとぐらい離れたところで! 撃つ暇なんてあげないよ!!」
「アリエス!! ダメ!!」
距離を詰めようと足を強く踏みしめたアリエスに、何かに気付いたクーリエが制止の声を上げる。だが、その一瞬が分かれ目だった。
「…だがな…正攻法しか知らないまっすぐなところがお前の敗因だ」
「な…またこの糸が…!!」
幾重にも縛り付けられたカルマの幻視の糸が、アリエスの体の自由を奪う。強度を増した糸にもがく彼を横目にグライドはクーリエの元へと向かう。
「クー!!」
「…悪いが、ここでチェックメイトだ」
「ふふ…残念ですが、さすがに今の私では貴方の攻撃を受けきることは出来ません」
魔導銃を向けられても、恐れることなく冗談めいた笑みでクーリエは応える。
「安心しろ、命をとるようなことはしない。だが、しばらく眠っていてもらうぞ」
「…顔だけはやめてくださいね? 私だって女の子なんですから」
「…ああ…善処する」
グライドだけに聞こえる小さな声で笑う彼女に、グライドは一瞬きょとんとして、答えた。
「それに…私が倒れたら、あの子…たぶんもっと強くなりますよ?」
「…ふ…それは楽しみだ。竜退治はそうでなければな」
グライドは少し笑って、引鉄を引いた。
「クー!!!!」
まるでスローモーションのように倒れるクーリエにアリエスが悲痛な叫び声を上げる。
「クーを…守れ…なかった…」
「残念だったわ。貴方のパートナーはここで脱落みたい。でも…安心して? 私が相手をしてあげるから」
嗜虐的な笑みを浮かべて、カルマが糸を手繰り寄せる。ショックからか力の抜けたアリエスの体が勢いよくカルマの元へと向かう。
「ふふ…じゃあ、貴方もパートナーと同じところへ行くといいわ」
足元に倒れているアリエスに刀を振り下ろすカルマ。わざと急所をはずしているのか、苦悶の声が上がる。
「僕が…守らないといけないのに…」
「ふふ…竜の生命力ってすごい…これだけやってもまだしゃべれるんだ…」
「カルマ、あまり遊ぶな。別に俺達はこいつらを殺しに来たわけじゃない」
その笑みを深くして、さらに攻撃を続けようとするカルマをグライドが制止する。
「グライド…さっきあの女に笑いかけていたくせに…だから、これは八つ当たり」
「…まったく…何を言っているんだか…」
「グラ…イド…お前が…クーを…!!」
「…この気配…っ!!」
「カルマ、何を!!」
突然、カルマがグライドを勢いよく突き飛ばす。その直後、突き飛ばしたはずのカルマの体が突き飛ばされたグライド以上の速度で吹き飛んだ。
「…グライド……大丈夫?」
「何が…何があったんだ!?」
倒れる瞬間まで、グライドを案じるカルマ。そして、さっきまでふたりがいた場所には、糸に縛られていたはずのアリエスの姿があった。
「…よくも…よくもクーを!!」
凪いだ湖のようだったその蒼い瞳は、まるで爬虫類のように縦に割れ、両腕を覆う青い鱗は暗闇においてなお輝いている。
腕に纏うだけだった風も、彼を守護するかのように全身を包み込んでいた。東方の神話において語られる天の御使いである龍。
そして、創世の神話において世界を統べる竜の如き圧倒的な存在感がそこにあった。
「…これが、あいつの言っていたこいつの本気…」
「お前が…クーを!! 許さない!!」
怒気を隠そうとしないまま、アリエスがまるで消えるようにグライドの背後に回る。
「見えなかった!? …ぐっ!!!」
両手の銃身を合わせるようにして何とかその拳を受け止めるが、圧倒的な腕力によってそのまま地面に叩きつけられる。
「がっ…はっ…」
「ああああああああっ!!!!」
倒れているグライドに追撃するように大きく足を上げて踏みつけようとするアリエスを、地面を転がって回避する。目標をなくした足が触れた遺跡の床が破片となって砕け散る。
「ちっ…なんて力だ…」
軽く舌打ちをして何とか起き上がるグライドに、アリエスは少しだけ距離をとる。
「…はぁ…はぁ…グライド…お前だけは…!」
「…許さない…?」
「そうだっ!! お前だけは!!」
憎悪に満ちた目を向けるアリエスに、グライドは笑った。
「何がおかしい!!」
「お前は、"自分が守れなかったことを"他人のせいにするのか?」
「な…!!」
「お前は、お前の力不足を棚に上げて当り散らしているだけだ」
「…違うっ! 僕は…!! 僕はクーを…!!!」
グライドの指摘に頭を抑えて否定するように首を振る。その姿を見て、ふっ…と息を吐く。
「わかった…いいだろう。お前がそれを否定するなら、今回はお前の考えに乗ってやる」
「…どういう…こと…?」
グライドは自分を庇って倒れたカルマを見つめ、アリエスに向かい直って笑う。
「俺も、"大切な人"をお前に倒された。だから…俺はお前を許さない。つまりは、そういうことだ」
「……」
「さあ、来いよ。全力でお前を潰してやる」
「……っ!!!」
挑発するように手を招くグライドに、アリエスが反応する。さっきよりもさらに速い、見えない一撃がグライドを襲う。
(防御してこの威力…これは、本当に捨て身で行くしかないな…)
「まだだっ!!」
背後に聞こえた声に反応する。防御より先に引鉄を引く。
「ぐううっ!!!」
「がっ…!!」
銃弾と爪が交錯して、お互いの体から鮮血が飛び散る。本来なら倒れてもおかしくない一撃を喰らってもなお、攻防は止まることはない。
「おい坊主…いや、アリエスだったな…」
「……」
お互いに距離を離して息を整える。荒い呼吸の中、グライドが話しかけた。それに何も応えることなく、だが遮ることなくアリエスが沈黙を続ける。
「俺は次の一発に全てを賭ける。これを避けられたらお前の勝ち…避けられなければ…」
そう言って、右手の銃を見せつけるように掲げる。
「さあ、最後の勝負だ…!!」
「ああっ…!!!」
ふたりが駆ける。風を纏う爪と、鈍く光る銃が激しくぶつかりあって火花を散らす。
「そんなもので、僕を止められると思うなぁぁぁぁっ!!!」
「左手じゃあ少々きついか…っ」
アリエスの全力の一撃に、高い金属音を響かせながらグライドの銃がひしゃげるようにその形を変え、やがて、その圧力に完全に崩壊する。
「僕の…勝ちだあああああ!!!!」
「…かはっ…」
ドン、と遺跡全体を揺らすような重い一撃がグライドの腹部に突き刺さり、その衝撃に苦痛の表情を浮かべる。
「…これで…」
「…さっきも言ったよな…正攻法しか知らない。疑わないことがお前の弱点だ…ってな」
「なっ…」
グライドが苦悶の表情を浮かべながらもアリエスの腕を掴み、そして、壊れていない右手の銃を彼に向ける。
「これも言ったな…俺はこの一発に全てを賭ける。…さあ、避けてみろ」
カチリ、と引鉄を引く音と共に、込められた最後の弾丸"エクシードバレット"が力を解放する。
放たれた規格外のエネルギーが奔流となって破壊の力を振りまき、全てを飲み込んでいく。
「この光は…うわああああああ!!!!!」
「賭けは…俺の勝ち…だ…な」
光が引いた後、そこに残っていたのは倒れ伏したアリエスと、引鉄を引いたポーズのまま気絶しているグライドの姿だった。

『決闘<デュエル>不成立を確認。転送魔術を強制発動。損傷修復の後、遺跡を通常モードに移行します』

 

    >>ヴァンプレックス

「……うっ…」
体を走る痛みに目を覚ます。そして、後頭部が何か暖かいものに接していることに気付く。
「…グライド」
「…うおっ…カルマ!」
グライドが目を開けると、そこには息がかかりそうな距離まで近づいていたカルマの顔があった。どうやら後頭部に当たる感触は彼女の太ももの温度らしかった。
「暴れない。無茶をしすぎて体が限界を超えてる」
「ぐっ…」
起き上がろうとしたグライドをカルマが優しく…とは言えない力で押さえつける。
「グライド…約束…破った」
「……」
非難するような口調でカルマが呟く。その言葉にグライドは目を閉じて黙り込んだ。
「…約束破った時は…わかってる?」
「……ああ」
二人の間に結ばれた誓約。「カルマが知らない世界を全て見せてやる」二人を繋ぐたったひとつの糸。
「…約束破ったら、私がグライドから一つ、好きなものを奪っていい…」
「…例え、それが俺の命であっても…」
狂気じみた代償。それはグライドがカルマの小さな世界を壊すための代償だった。
「…覚悟は出来てる?」
「…ああ」
目を閉じたまま頷く。未練がないと言えば嘘になるが、カルマと交わした誓約はグライドにとっても何よりも優先すべきことだった。
「じゃあ…」
いわゆる膝枕の態勢のまま、カルマの冷たい指がグライドの首へと伸びていく。ひんやりとした冷たい手の温度を首筋に感じながら、その瞬間を待つ。
「……んっ」
「……!!」
予想外の温度と唇に訪れた感触でグライドは息を止められた。

    >>グランフォース

深い闇に落ちた意識の中で、アリエスは一人の少女のことだけを考える。
(クー…僕はクーを守れなかった)
脳裏に蘇るのは、スローモーションのように倒れる大事な少女の姿。それを止めようとする自分の姿と、絶対に追いつけない結末。
(クー…!!)
叫ぶ。手を伸ばす。だが、触れようとした瞬間にその体は光の粒になって消えた。
「クー!!」
言葉が声となって出る。それに引きずられるように意識が急激に覚醒する。
「…!! …っ!」
周囲を見渡すと、そこには倒れたまま動かないクーリエが横たわっていた。アリエスは急いで駆け寄ると、その体を抱き上げる。
「…ごめん…ごめん…クー…。僕が、もっと強かったら…」
深い蒼の瞳から涙が零れた。後悔の念が、自分への怒りがこみ上げてくる。
「…僕は…一番大事な人も守れない…大バカだ…!!」
ギュッと強くクーリエの体を抱きしめる。
(…困ったわね…)
悲しみの淵に沈むアリエスに抱きしめられながら、クーリエは内心冷や汗をかいていた。
(…あの時、あのグライドとかいう人がダメージを最小限に留めてくれたから、特に何もないんだけど…)
実は意識もそれなりにあった。そして、アリエスが自分のためにあそこまで怒ったのを見て、少し照れた。
(…今も"大事な人"とか…ああ、もう…なんで私がこんな目に…)
「クー…」
(……だけど、あんまりヘコませるのも悪いかな)
ふう、と胸の内で息を吐いて一度落ち着かせる。
「……ん…アリエ…ス?」
「……クーっ!!!」
「わぷっ…!!」
(ちょっ…アリエスっ!?)
何気ない顔で起き上がる演出をしようとしたクーリエを、アリエスがさっき以上に強く抱きしめる。
「よかった…よかったよ…」
(あ、あわ…わ…)
「もう、二度と僕はクーを悲しませたりしない。今度こそ…絶対に守るんだ!」
「わかったから、抱きつくのをやめなさいっ!」
珍しく真っ赤になるクーリエと、嬉しさのあまり抱きしめるのをやめないアリエス。
この冒険で少年は本当の意味で守ることの難しさ、そして大切さを知ったのかもしれない。二人の物語は、まだ終わらない。

End

ちょっとした小話。
アリエスが棒立ちでクーリエへの攻撃をスルーしてるのが違和感あったので色々と追加。
まぁ、カバーリングないとしょうがないんだけどね。クーのほうが硬いし…。
ついでにアリエスに覚醒モードをでっちあげといた。龍と言えば竜眼ですよね!
竜眼・・・解放っ!!

あと、セッション時点では特に決まっていなかったグライドとカルマの背景を追加。
グライドは巨大ギルドの特殊部隊出身。過去はカタナを使っていたという設定。
ヴァンプレックスというのは「Van complex」>先陣依存症という造語。篭手を意味するヴァンプレイスからもきている。グライドのギルド時代のコードネームでもあるのだが、どうでもいい設定。

カルマはネヴァーフの先祖がえりなために忌み子として幽閉されていた東方出身の少女
村人どころか両親にさえ忌み嫌われていたために、善悪よりも自分が好きか嫌いかだけで物事を判断する。
村にグライドがやってきたときに1セッションぐらいあって救出されて、今に至る。
カタナはグライドからもらった。とかそんな感じ。あと多分にラブラブ要素を追加してみた。
ハイパーなヤンデル。世界にヤン。グライドにデレ。そんな感じ。


勝手にCv(滝壺氏のキャラは私が書いている間の脳内ボイスということでひとつ)
グライド:森川さん(だんだんキョウスケに見えてきたんだ…賭けとか冷静に見えて熱血とか)
カルマ:みる嬢(ダウナーな方のみる嬢。私、こういう精神的に壊れたキャラ大好き。ヤンデレじゃないよ。デレデレだよ?)
アリエス:白石涼子さん(お馬鹿な少年…まだ変声期前だと思うのでこんなイメージでひとつ)
クーリエ:伊藤静姉様(私が書くと大体こうなる。お姉ちゃんに謀られたいっ!!)

途中、シナリオの作成やら何やらで結局1ヶ月くらいかかってしまった。反省。
二回目のリプレイは書かないかも。セッションで結構やりとりしてるしね。

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