「…まさか…ここまで抗うとは思いませんでしたわ…」
　無限城アルカンシエルの最奥、玉座の間の豪奢な椅子に腰掛けたまま、メルは口元を嗜虐的な笑みに歪める。
「…いいわ、貴方が抗うのならば、抗えないくらいの絶望をもって壊して差し上げますわ…心も…体も…その全てを…」
　メルが空中に浮かぶ投影に目を向ける。そこには、一直線にこの場所へと向かうハルカたちの姿が映っていた。
「さあ…フィナーレの準備をしませんと…ふふふ」
　玉座から立ち上がり、配置されているマネキンの頬を指先で撫でる。一瞬の雷光のうちに、その姿が無機質で無表情なものから、確かな姿を得て変化していく。
「感動の再会よ…せいぜい喜びなさい…ハルカ=リノリウム…」
　呟きが、部屋に響いた。