(Sun)
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魔王になってから何日もの時間が過ぎ、その間に昔ちょっと関わったウィザードの痴話喧嘩に巻き込まれたりしながらも私は、魔王として元気に生きていた。ネフィ
リムのフェザーもケルベロスのブレイズもヴァルキリーのキュリアも、もちろんギースもみんながゆったりと暮らしている。もちろん、新参者の魔王ということで血気
盛んな侵魔から攻撃を受けたこともあったけど、みんな誠心誠意話をしたらわかってもらえた。裏界もなんだかんだで平和だ。
「うぅぅ~ん…最近私のところに来る人も減ったから平和だね…」
「そうですね、これでひとまずは魔王として認められたということでしょう」
玉座(結局、あの後私たち総出で改築して、わりと普通のお城にした。さすがにあのセンスには全員一致で改築に決まった)に座って大きく伸びをする私にギースが応
える。
「だけど、魔王になったからにはウィザードとか他の魔王とかが私を倒しに来ることもあるんだよね…」
「はい。でも、私と、そしてあやつたちがいる限り、ハルカ様に指一本触れさせはしません。安心してください」
ちょっと不安になった私を勇気付けるように言うギースに、思わず笑みが零れる。
「うん、ありがと。よし、私頑張るよ! 絶対にみんなが尊敬してくれるようないい魔王になるからね!」
「ええ、我ら全員できると確信しています」
私は玉座から立ち上がり、拳を握り締めて空へと突き上げる。みんなが信じてくれるなら大丈夫。私はやってみせるよ!!
ここにまた一人、新たな魔王が生まれた。時間と因果を支配する魔王ハルカ=リノリウム。その小さな存在が、それなりに裏界に波紋を呼ぶようになるのはまだ先のこ
と。しかし、ハルカという存在を巡り、すぐそこに新たな運命が紡がれることを、誰も知ることはなかった。
夢の見る夢 ハルカ=リノリウム side魔王 「同族殺し(エミュレイト・エミュレイター)」 完
次回予告
魔王としての力を制御する修行に明け暮れる魔王ハルカの前に現れたのは、魔王に恋人を奪われた少女。
大切なものを守るため、死を覚悟した戦いを挑む少女に、ハルカの心は揺れる。
『あたしはアンタを倒して、あいつを救うんだ!!』
『…私にだって…守りたかった想いぐらいあるんだっっ!!』
奇跡を願う少女と、優しき魔王の想いが交錯する瞬間、世界はその姿を変える。
夢の見る夢 ハルカ=リノリウム side魔王 「魔王との契約(ルシフェル・コントラクト)」
それは、夢が見る、もうひとつの夢物語。